車を動かすためには、エンジンで発生させた力をタイヤに伝えなければなりません。
そのためには、トランスミッションやドライブシャフトなどのパワトレイン(駆動系)が必要となります。
ここでは、エンジンとパワトレイン、それぞれの役割を「人」と「自転車」に例えてご説明します。
人が活動するためには、食事を摂らなければなりません。 燃料を動力に変えるエンジンの原理は、食物をエネルギーに変える人体の構造とよく似ています。 エンジンは大きく分けると、ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン・LPGエンジンの3つ。 以下、それぞれの特性をご説明します。
内燃機関であるガソリンエンジンは、スパークプラグで火花を発生させることで燃料を着火させ、 シリンダー内で爆発燃焼したエネルギーの力を利用し、物を動かしています。 高回転で静粛性があり、バイクやカート、チェーンソーなどに使用されていることからも分かるように小型化が可能です。 製造コストが安いため、日本でもっとも普及しているエンジンと言えます。 最近では、モーターと組み合わせた省エネ仕様のハイブリッドエンジンも普及しています。
圧縮着火機関であるディーゼルエンジンは、ピストンを用いて圧縮加熱した空気に液体燃料を噴射し、着火させます。 液体燃料は、発火点を超えた圧縮空気内に噴射されるため、自己発火します。 単体の熱機関としてもっとも効率的なエンジンであり、汎用性が高く、小型のものから トラックやバス、機関車や船舶といった大型な乗り物に採用されるものまで、バリエーションに富んでいます。
LPGとは、「Liquid Petroleum Gas」の略で、プロパンとブタンの混合ガスのこと。 タクシーへの搭載率が高いので、トランクの中にガスボンベがあるのを見たことがある方も多いでしょう。 エンジン構造自体は、ガソリンエンジンと変わりません。 低燃費、かつ低排気でクリーンなエネルギーなのですが、同じ体積の気体を燃やして得られるエネルギーがガソリンの約半分だったり、 定期的なメンテナンスが必要だったり、高圧容器へのガス注入設備があまりなかったりと、日本では一般への普及に至っていないのが現状です。
ここでは、自転車に例えてご説明します。 食事を摂り、元気いっぱいな人が自転車に乗っています。 いくらこの人が元気だったとしても、ギアやチェーンがなければ自転車を走らせることはできません。 この場合のギアに相当するのがトランスミッション、チェーンに相当するのがドライブシャフトです。
エンジンで発生した動力を、適切な速度に切り替えるための装置です。 ミッションは通常、ローからハイトップまで5段階の設定がされています。 ローギアは低回転トルク(回る力)を使って重い車体を動かし、 高速になるにしたがって回転数の早いギアに切り替えます。マニュアルとオートマとの違いは、 ドライバーの感覚で切り替えるか、機械制御かの違いのみで原理としては同じです。 車やバイクのギアは隠れていますが、ギア切り替え式の自転車にその仕組みを見ることができます。
ミッションで調節された回転をタイヤに伝えるのがドライブシャフトです。 自転車に置き換えると、チェーンがそれに該当します。 車のドライブシャフトは、2個の等速ジョイントと1本の中間シャフトが組み合わされ構成されています。 日本車は、エンジンが前方にある前輪駆動車(FF)が多く、短いドライブシャフトで問題ありませんが、 エンジンが前方にある後輪駆動車(FR)では、エンジンと後輪との距離があるため、長いドライブシャフトが必要となります。 後輪駆動車の後部座席の中央に、突起があるのはそのためです。